小さなうつわのメッセージの「折々の記 第60号 」

折々の記第60号

ご縁を戴いて

館林は約2万年前に人々が住み始めた事が確認されているといわれています。

この地にご縁を戴いて住み始めた私は、現在90歳です。多分この地で今生の旅立ちをさせて戴くことになるでしょう。

この地には、夫の御先祖のお墓があります。先月、夫の御父母のお墓参をさせて戴いた折に、近じかそのお墓にご一緒させて戴くことをお願いしてまいりました。

人生の終結の時を迎える前に、この自然の豊かな所で日々を過ごさせて戴いていますと、優しい母の腕の中にいる子供ような心になって、齢を重ね生きてきた婆の私も、自然の流れに生きることが出来る素直な心になったように思えます。

人生の大切な時を心するようにと、夫のご先祖様がこの地によんで下さったのでしょうか。このご縁に感謝です。

そうしたご縁を戴いた地の沼の畔を、毎朝夫と共に散歩の折、老人の心に若返りのパワーを投げかける様に、道端の花々は咲いてくれています。この季節に特に写真に収めた道端の花は、つつじと紫陽花と菖蒲とホテイアオイした。あまり見かけることの少ないないホテイアオイは、明治時代に、南アメリカ原産の美しい花として、観賞用に日本では持ち込まれたそうです。

【(布袋葵(WaterHyacinth)、学名:Eichhorniacrassipes)単子葉植物、ミズアオイ科に属する水草。南アメリカ原産。水面に浮かんで生育する。】

そして花言葉は「恋の愉しみ」「恋の悲しみ」「揺れる想い」「好意」だそうです。

私の今生の終わりの時に、主人の生まれ育った故郷の地の公園を、主人と共に毎朝散歩をしていて思います。東京生まれの東京育ちの私には、生まれた家も育った家も今は全てありません。父母は故郷から東京に出てきて家を持ち、亡くなった後、家屋敷は全て売買してしまいましたから、私には故郷はありません。今、現実にあるご縁の地は、この館林だけです。この地に居られた主人のご先祖様方に、ご縁を戴いたことを感謝を致しております。


旧小さなうつわのメッセージ(山梨版)は、こちら